<IFA>峰村亮介「お客様のためにならないことは絶対にしない。キャリア13年目・金融のプロが貫くブレない信念」
2021/11/03
お客様の役に立ちたい。
営業に携わる者なら、みんな一度は口にしたことのあるだろう台詞だ。だけど、それを本気で目指し、初志貫徹できる人はそう多くない。にもかかわらず、ファイナンシャルエスコートの峰村さんはキャリアが10年を超えた今も、まっさらな眼差しで「お客様の役に立ちたい」と口にする。
なぜ峰村さんはブレずに信念を貫けるのか。その根底には、子どもの頃から育んできた武士の心があった。
(プロフィール)
ファイナンシャルエスコート株式会社
IFA 峰村 亮介
東京都出身。早稲田大学卒。2009年、野村證券に入社。営業部門を8年、管理部門を3年経験した後、退職。事業会社の営業マネージャー職を2社経験し、2021年より現職。
モチベーションの源泉はお金でも名誉でもなく、お客様の笑顔
ーー峰村さんが野村證券に新卒入社されたのは2009年。リーマンショックの影響で金融業界全体が落ち込んでいる時期でした。
本当にしんどかったです。日経平均が7000円あたり。新規で飛び込み営業をしても、「そんな目をする?」というくらい冷たい目で見られることがよくありました(笑)。
――そうした厳しい時期に金融業界に飛び込んだのには、どんな理由があったんですか。
父を含め、親族に金融業界の人間が多くて近しかったというのがひとつと。あとは、人の役に立てる仕事がしたいという気持ちが強くて。
――役に立ちたい。
僕、そんなに欲がないんですよ。物欲もないし、お金持ちになりたいという欲もあんまりない。
そんな僕が自分で自分の存在意義を感じられるのが、誰かの役に立てたときで。お金を稼いだり、偉くなったりすることより、誰かの役に立てることにモチベーションが湧くタイプなんです。
ちょうど当時、「貯蓄から投資へ」という言葉がよく言われるようになっていて。証券なら、資産形成のお手伝いをすることで、お客様の役に立てる。そこにやりがいを感じて、やってみようと思いました。
――証券の営業というと、稼ぎたい人が多いイメージなので、意外です。
なので、そのあたりは入社後苦労しました(笑)。やっぱり証券って手数料が収入に直結する世界。言葉は悪いけど、たとえそれがお客様にとってメリットの低い商品でも、買ってもらって、手数料をあげた人が成績上位になる。でも僕はそれができなくて。どんなに上が「これを売れ」と言っても、お客様にメリットがないと思ったら提案したくなかった。よくそれで上司や先輩に怒られていましたね(笑)。
――数字が第一の営業組織で、その信念を貫くのは、さぞ大変だったのではないかと。
大変でしたね(笑)。だから、僕自身、そんなにすごい成績優秀な営業マンだったというわけではないんです。それよりも大事にしていたのは、お客様との信頼関係。そのためにもまずはお客様の話を聞いて。お客様が今後どんなふうに暮らしていきたいと考えているのか、どんなことをお望みなのかを知ることから始める。その上で、自分はどうやったら役に立てるか、どうすればお客様のご要望を実現できるのかを考えていました。
お客様とは、利でつながるのではなく、信頼でつながりたい
――証券マン時代のお客様との思い出といえば。
入社1年目の頃はリーマンショックもあって株価がすごく下がっていたんですね。それで、公募増資が増えていた時期で、お客様にも買付手数料なしで購入できるからお得ですよという案内を会社としてよくしていたんです。
ただ、僕はこういう性格なので、そんなふうに人参をぶら下げるような営業はしたくなくて、頑なにやらなかったんですけど(笑)。
――上司からすると面倒くさいタイプの新人ですね(笑)。
相当面倒くさかったと思います(笑)。「斜に構えてないで、とりあえずやれよ」とかよく言われていましたし。
でも、お客様とは利でつながるのではなく、信頼でつながりたかった。僕、人のちょっとした表情から気持ちの変化を読み取るのが得意な方で。わかっちゃうんですよね、お客様が今嫌そうな顔をしたなとか。それを無視してまで、無理に営業するようなことは、どうしてもしたくなかった。おかげで苦労することもあったんですけど、それだけは譲れませんでした。
そんな入社1年目の6月に、あるお客様から新しく口座を開設していただいたんです。それが、忘れもしない僕の誕生日で。そこから週2〜3回はそのお客様のご自宅を訪ねて、とりとめのない世間話をするという関係が続いていたんですけど。
やっぱり資産家の方ですから、いろんな銀行や証券から営業を受けていて。勧められるままに、いろんな株を購入されていたんですね。ただご本人がちゃんと理解されていないところも結構あって。ある日、ご相談をいただいたんですよ、「1回見てほしい」と。
それで、僕なりに見直しをさせていただいて。ここから先上がる見込みのないものに関しては売ってみたらどうですかとご提案をして。結果的に、億単位のお取引をいただくことになりました。最初に口座開設をしたときはほんの数千円のお取引だったんですけど、時間をかけて信頼を積み重ねていった末に、そういった大きな金額をお任せいただけるような関係を築くことができた。自分らしいお手伝いができたという意味で非常に印象深いですし、そのお客様とは初めてお会いしてからもう10年以上経ちましたが、今も交流が続いています。
IFAのやりがいは、お客様ファーストの提案ができること
IFAのやりがいは、お客様ファーストの提案ができること
――ファイナンシャルエスコートには2021年に入社されました。きっかけはなんだったんですか。
代表の村田とは野村證券の同期なんです。ただ、在籍当時はそこまで親しかったわけではなくて。出身が同じ早稲田なので、入社当初の集合研修のときに話した記憶はありますが、そのあとは配属も違ったこともあって、ほとんど接点がなかったんですね。
それがたまたまSNSでつながって。お互いの近況を報告し合っているときに、村田が新しく会社をやっていることを知りました。そのときの村田の話にシンパシーを覚えて、僕も一緒にやりたいと思ったのが入社のきっかけです。
――どんなところに共感したんですか。
よく言われる話ですけど、日本は金融に関する教育をまったくしてこない。おかげで世界的に見ても金融リテラシーが相当低いんですね。アメリカでは幼少期から金融に関する知識を教えられるので、投資も身近なものだと考えているし、お金を儲けることに抵抗がない。一方、日本はどこかお金を儲けることに対してネガティブなイメージを持っていて、投資と聞くと身構える方も多いですよね。
でもお金を儲けることは決して悪いことではない。むしろ正しい金融知識を身につけることは、すごく大切なことです。村田は事業を通じてそうした金融教育を実現していきたいと話していて。そこにすごく惹かれました。
――ファイナンシャルエスコートが実践しているIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という働き方は、これまでの峰村さんの営業哲学にもフィット感がありそうですよね。
それは本当にそう思いますね。IFAのメリットは会社の方針に縛られることなく、目の前のお客様に合ったアドバイスができるところ。お客様のためだけを考えて動けるのは、すごくやりがいを感じます。
社名の通り、ファイナンシャルエスコートは、お金に関するお悩みを抱えるお客様をしっかり「エスコート」することに重きを置いています。だから、売りっぱなし提案しっぱなしということは一切ない。お客様のポートフォリオに合ったプランを提案し、継続的にフォローし続ける。お客様と長いお付き合いができるところが、僕自身にも合っているのかなと思います。
――峰村さんが、お客様に対してこれだけはしないと決めていることはなんですか。
お客様のためにならないことは絶対にしないっていうのは決めています。逆に言うと、お客様が嫌だと言っても、それが絶対お客様のためになると確信できることに関しては強くお伝えします。もちろんきちんとした理由がある場合もありますが、中にはよく知らないからやりたくないと考えるケースもあるんですよ。であれば、知らないということを解消さえすれば、やってもらえる可能性は十分にある。そこをちゃんと正しい知識でリードして、お客様の役に立てることが、僕の存在価値だと思っています。
もっとお金についてポジティブに考えられる世の中をつくりたい
ーーお客様の資産を預かる以上、リスクを負わせる可能性もあります。その重圧とどう戦っていますか。
責任が重いのは承知の上。あとはもう誠心誠意やるしかない、と思っています。やっぱり相場なんで、下がることもあるんですよ。でもそれでめちゃくちゃ怒られたことって実は今までなくて。そういうときにお客様が怒られるのって、事前の説明が足りていないからだと思うんですね。
僕はお客様にご納得いただくまできちんと説明をします。僕たちの仕事は決して説得ではない。きちんと説明した上で、お客様がご自身でちゃんと納得されるかどうかが大事なんです。
――この仕事をしていて、どんな瞬間に喜びを感じますか。
それはやっぱりお客様の役に立てていると感じるときです。ご提案するにあたって、お客様と最終的なゴールを確認しますよね。そして、そのゴールに到達するには、節目節目でマイルストーンを設定します。そのマイルストーンをきちんと達成できて、お客様が喜ばれているのを見ると、やっぱりうれしいです。
――改めて伺いますが、どうして若い日から持っている「人の役に立ちたい」という信念を、キャリアを重ねた今もなお持ち続けることができるのでしょうか。
ちょっと自分の趣味の話になるんですけど、僕は日本史が好きで、歴史小説をよく読むんですね。歴史小説に目覚めたのは中学のとき。最初の1冊は、司馬遼太郎の『燃えよ剣』でした。そこからいろんな歴史小説を読んで。
どうしてそんなに好きなのかと言うと、歴史小説の根底に流れている「武士道」精神が好きなんです。決して汚いことはせず、正々堂々、義を尽くす。その心が、自分の根っこにあるんだと思います。だから、ずっとブレずに信念を貫けるのかもしれません。
――では、今後のビジョンを聞かせてください。
今はアスリートのみなさんの支援に力を入れています。やっぱりアスリートの方ってセカンドキャリアが見えづらいし、金融に関してしっかり勉強してきたという方が少ないのが現実です。そんなアスリートのみなさんを資産運用という面からサポートすることで、何か力になれればと思っています。
あとは、先ほど申し上げた正しい金融教育の実現ですね。お金儲けは汚いというイメージを払拭し、みんながもっと資産計画について身近に感じ、自分でしっかり考えられる世の中をつくり上げていきたいです。
(インタビュアー 横川良明)